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夢の橋21

 30, 2017 07:15
 会長が会長室の椅子にもたれて息を引き取っていた。間が悪いことに机には代取会長の辞任の通知書が置かれていた。あれから1時間後に合鍵を持った影の男が東の部屋に入ってきてベットに倒れるように死んでいた。それで私と東が別々に警察に呼ばれた。だがしっかりとアリバイがあり帰された。
 今日は会長の社葬がありその後検査部長に呼ばれた。
「新体制が決まったが」
と役員会議の議事録を見せられた。検査部長が常務として役員に名を連ねている。
「君はこちらに来ないか?」
「いえ、退職を考えているのです」
と言うと外に出た。新しい会社は見知らぬ男が社長になっているが、次は五反田の雑居ビルに決まった。私は自分のダンボール箱を蒲田に送った。五反田に戻ろうとしてメールを見た。
 銀座の9丁目のベンチャークラブに入る。東があの時とは別人のように華やかに短髪の女性を連れてくる。
「ここの新しいママよ」
「ソープに来た?」
 もう彼女は頭を下げてボックスを離れる。
「社葬も行ってきたわ。どんな取引をしたか聞かないの?」
「いや君の世界には入りたくない」
「そうね?たかの話をしていたわね?私はたかの生まれ変わりかもね?会長も私を殺すから大判振る舞いの条件を飲んだわ。会長も私も似た者同士だと思った。死を賭けた最後のセックスは燃えたわ。12億の裏口座をそのままくれた。1億送金しておいた。もう辞めるのでしょう?」
 私は蒲田の駅で辞表をポストに入れた。暖簾を潜ると珍しく総司が常連と話している。
「辞めた」
「よかったね。今の会社はよくないわ」
「今日も向こうに行く」















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夢の橋20

 29, 2017 07:03
「会社を辞めるかも?」
「いいよ」
 総司は驚くふうもなく食事を終えて新しいメニューのポップをマジックで書いている。給湯器をカウンターに備え付けてカップラーメンを出すようだ。7種類を仕入れてきて朝棚に並べるようだ。ふとテレビを見ると総理の顔が映っている。禅譲をして総理を降りると話している。
 会社に着くとすでに会社の閉鎖と移転先が決まったらしく壁に貼りだされている。今日は検査部長が来てメンバーに簡単に指示して、室長室に来るように言われた。
「会長と社長が3時間に渡って話し合いをされた。1週間後に会長は代取を降りて相談役に退くことになった。だが会長はまだ巻き返しを考えている。だがこの決定は総理の意志だ。翻すことはできない。君は会長に呼ばれるだろう。しっかり見張っていて報告するのだ」
 それで自分から連絡を入れて会長を訪問を伝えたが、昼に東のマンションに来るように言われた。
 マンションに着くと会長と東がベットの中にいる。悪魔のような風景だ。何があったのか。二人とも何を考えているのだ。東はつんとした乳首を見せたまま立ち上がる。下の割れ目に精液の跡がある。まだ会長ができるという噂は本当のようだ。会長は立ちあがて背広を着ている。
「会長?」
「もう用は済んだ。タクシーを呼んでくれ」
と言うともう部屋を出て行く。東は飛び出すと裸のままに下剤を飲んでトイレに走る。何があったのか。下剤も飲み過ぎだ。
「背中を叩いて!」
 東は裸のまま嘔吐を続けている。私は背中を強く叩く。私は東の下痢を顔に被ってしまった。もう顔は真っ白だ。
「青酸カリのカプセルを飲まされたわ」
「どうして分かって飲んだ?」
「私も飲ませたから。私をこのままホテルに連れて行って?」
「どうして?」
「あの影の男が来るはず」






夢の橋19

 28, 2017 07:23
 東の殺人の話は総司には内緒にした。これ以上東の話はやめておこうと思った。だがこのビルの資金を貰った恩がある。会社に出ると朝からネットで新聞を見ている。やはり出ていた。発見は起きて来たやり手婆の通報で3時半だ。警察は心中として自殺扱いだ。私はネットに出ていた大衆誌を買ってきた。
 もちろん興味本位でソープで全裸で心中と題名が付いている。写真は撮れなかったようでソープの建物と室長の写真と女の写真が載っている。室長の辞めた会社のことと女が近くのソープから出張していたことが出ていた。さすがに会長が影の男に殺させたから呼び出しはない。代わりに検査部長に4時に来るようにと携帯があった。
 11人のメンバーは検査部長から遂にこのメンバー以外の解雇の準備に入るようにと伝えてきた。残された元役員も懲戒解雇が決まった。それでお局がさらに引越しの交渉をしている。昔の会社が整理され全く違う会社になるのだ。だが不良債権計画ではまだ10年が掛かるとされている。私も引越しまでに辞めようと思っている。
「室長が心中したな?解雇していてよかった」
 入ってくるなり検査部長が行った。
「室長絡みの調査はすべて破棄することいいか?」
 どういうことになったのか?
「昨日総理から呼ばれて社長が行かれてこの結論になった」
 何か取引があったようだ。それ以上話す気がないようだ。帰ろうとして会社を出た時に会長からすぐ来るようにと携帯が入った。
「早かったな?」
 サングラスを掛けた男が入れ違いに出て行く。あれは影の男だ。東が仕掛けたのか?
「今夜あのクラブに行ってくれ。ママには伝えてある。一方的でもいいから向こうの条件を聞いてきてくれ?」
 7時にクラブに入る。東は待っていたのかボックスに案内する。だがホステスは呼ばないで豪華な食べ物にビールを注いでくれる。
「総理の秘書と会長にあの写真を送ったわ」
「これからどうすのだ?」
「まあ見ていて。今晩泊まるもうできるから」
「いや帰るよ」




 












夢の橋18

 27, 2017 07:06
 最近東の周辺だけでなく私も調べられている節がある。どうも公安が動いている。
「たかが生きていたよ」
「やはりね」
 今の総司は向こうのことを覚えているようになっている。
 私は気になって再び吉原に向かった。東はわざと私を͡このソープに向かわせたが、あの写真をよく拡大してみるとベット壁に店の名前が出ている古いカレンダーが貼っている。故意に見える。もう10年ほど前に作った店の女の子の裸の写真だ。これをわざと見せたのだ。室長の場所を教える?東は何かを仕掛けているな?
 店の中に入っても誰も出てこない。まだ1時だからこの世界は眠っているようなものだ。そっと階段を上がる。やり手婆が壁にもたれて眠っている。私は慌てて持って来た手袋をはめて、あることに気付いて空きっぱなしになっている戸から慎重に覗き見する。やはり!あの髪の長い女が全裸で泡を吹いて仰向けに倒れている。室長も後ろに仰け反って息絶えている。
 私は慌てて階段を降りると反対側の路地を抜けて南千住駅に出た。
「殺したな?」
 東に携帯を入れた。
「馬鹿ね?また行くなんて。死んだのは11時、私も12時には店に行っていた。盗撮器を引き上げたの」
「ずっと撮っていたのか?」
「遠隔で見ていたわ。殺したのは会長の影の男、マスクもしないでばっちり写っている。無理やりセックスを始めた二人に青酸カリを飲ませた。映っているよ。逃げ出したのは11時半、廊下でおばあさんが倒れていたでしょ?」
「それでどうする?」
「これをプラスで金額を請求するわ。あの影の男がいると殺されるからね?私を撥ねたのもこの男よ。映ってないよね?」
「ああ」
 怖い女だ。
「これからを楽しみに見ているのよ」





夢の橋17

 26, 2017 07:30
 日清戦争は日本が勝利を続けている。だが玄道は私に実際の問題を生々しく連載させている。それで私と編集長は警視庁の川路に度々呼ばれている。その度に伯爵に救われている。
 今日は珍しく樋口一葉を訪ねる。今でも庭に花を植えている。
「先生久し振りです」
「亡くなったと悲しんでいたのですよ」
 今日は新しく連載が決まった『うもれ木』の原稿を受け取りに来たのだ。今は隣に座っている新人女性記者が担当だ。
「総司さんも元気?」
「はい。相変わらず真剣を振り回して危険な総司ですよ」
「抱きましたか?」
 小声で言う。
「はい。向こうでは子供が出来ました」
 一葉にはトラベラーのことを話している。彼女は全く疑いを持っていない。
「子供?」
 新人記者が聞き返す。
「いや夢の話だ」
 原稿を貰うと私だけが玄道と合流して伊藤博文に会う。執務室に入ると伯爵が向かい合って座っている。今伯爵は天皇と伊藤の調整が仕事だ。テーブルに色々な資料が並んでいる。私は持って来た写真機で10枚ほど撮る。玄道は座って会話をしながら筆記している。2時間が経って補佐官が入ってくる。
「この写真は?」
 私が初めて口を開いた。
「李鴻章だ」
「その横にいる婦人です」
「たかだ」
と伯爵が叫ぶ。袁世凱から李鴻章にいつ乗り換えたのか。手にはレースの手袋をしたたかが立っている。伯爵はその新聞を伊藤から貰っている。












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